越前がにをもっと知ろう!
なんで越前がには冬の味覚の王者と呼ばれるの?
日本海の荒波と寒さが厳しい福井県で獲れる越前がに。別名「冬の味覚の王者」と呼ばれ、蟹だけでなく冬の海産物の中でも最高峰に位置付けられています。その理由はなんと言っても味です。甘く、ぎっしりと詰まった蟹身と濃厚な蟹みそはは絶品です。本物の越前がにを一度食べたら、その美味しさは忘れられないことでしょう。
ではなぜそんな美味しい越前がにが獲れるのでしょうか?それは越前海岸沖の地形が蟹の生息環境に最適だからです。漁場の近さ、海底の状態、船の種類などたくさんの理由があるのです。
たくさんの理由が重なりあって「冬の味覚の王者」越前がにの味が生まれるのです!
では、もう少し越前がにの歴史も含めて一緒に見ていきましょう!
越前がにの歴史
越前でのズワイガニの漁は国内でもっとも古い歴史があると言われています。最も古い記録では、安土桃山時代、永正8年(1511年)に京都に住んでいた三条西実隆の日記に「越前蟹」という表現が出てきます。ということは、この当時、すでに越前の国(現在の福井県)ではズワイガニの漁が行われ、京都まで運ばれていたことが推測されます。
その後もズワイガニの漁は続き、全国で唯一の皇室献蟹となりました。越前がにを皇室に献上した歴史も古く、明治43年12月に越前町(旧四ヶ浦町)で獲れた越前がにを皇室に献上したという記録が残っています。
このように古い歴史のある福井県のズワイガニは、徐々に日本の蟹のトップブランドとして認められていき、今では「越前がに」として広く全国に知られていきました。
1997年に越前がにの証明でもある黄色いタグを付け、全国に先駆けて正式に「越前がに」としてブランド化することで、さらに全国の皆様に美味しい越前がにを知っていただき、安心して食べていただけるようになりました。
越前海岸の環境と漁場の近さが美味しさの秘密
越前海岸は越前がにの漁にとって好条件ばかりです。越前海岸沿岸は水深が急に深くなっており、越前がにの生息水域である水深250m〜400mまで一気に深くなっています。このことが越前がにの漁には適しており、漁場が漁港が37km〜56km程度しか離れておらず、漁船で1時間〜2時間で漁場に到着します。そして、漁場の海底が100m、150m、200mと段々畑のようになっていることも特徴で、他の地域には見られない、越前海岸沖ならではのものです。これは越前がににとって生息しやすい地形となっています。
また、越前海岸沖は暖流と寒流のぶつかる海で、プランクトン、小魚、甘えび等がとても豊富で、越前がにのエサとなり美味しい越前がにを育ててくれます。
もう一つの要因として、冬の寒さ、海水の冷たさも関係があると言われております。越前海岸沿岸の地形、漁場への距離、豊富なエサ、海水温度など、最適な環境が美味しい越前がにを育てています。
越前漁港が本場の理由!
漁船数が福井県最多
越前漁港から出航する越前がに漁船は小型の船から大型の船まで含め50隻以上あります。これは福井県内最多で、福井県全体の越前がに漁を支えています。越前がに漁は「底引き網」でおこなわれます。漁獲された越前がには鮮度を保つために、すぐに船内の海水の入った水槽に入れて生きたまま漁港に運ばれ、その日の間に生きたまま競りにかけられます。これは全国的にも珍しく、越前がにが美味しい理由の一つです。
漁船にも秘密有り!
越前漁港には小型の底引き網漁船だけで40隻以上あります。これも福井県内では最多で越前漁港が越前がにのメッカである理由です。ではなぜ小型漁船が多いと良いのでしょうか。それは沖泊まりせずに日帰り漁をするからです。獲れたての越前がにを素早く、生きたまま漁港に運ぶため、最も重要な鮮度を保ったまま競りにかけられます。そして生きたまま県内各地の旅館、飲食店へと届けられていくのです。
越前がにブランドタグ、発祥の地!
現在では各地域で定番となった蟹に付けるブランドタグ。これは日本全国で初めて1997年に越前町漁業協同組合がはじめました。競り前のズワイガニにタグを付けることで「越前がに」というブランド化を行い、お客様に安心して、本当に美味しい、高品質の蟹を買っていただけるようにしました。この取り組みが県内の他の漁業組合に広がり、今では黄色いタグは越前がにとしてのブランドイメージを定着させていきました。
越前がに種類を知る!
越前がに
言わずと知れた福井県が誇る冬の味覚の王者「越前がに」。越前がにと呼ばれるのは黄色いタグが付けられたオスのズワイガニだけです。大きく立派な甲羅の中には濃厚な蟹味噌がたっぷりと詰まっています。長くたくましい脚には甘く、ジューシーな蟹身がぎっしりと入っており一口食べれば口いっぱいに旨味が広がります。
ズワイガニは、産地により様々な名称があり、福井県では「越前がに」、山陰では「松葉ガニ」、丹後の一部では「間人ガニ」、石川県では「加能ガニ」と呼ばれます。その中でも越前がには漁場の良さ、漁の方法等により他のズワイガニに比べても美味しいことから唯一の皇室献上蟹になり、大変人気で有名なズワイガニです。
全水揚げ量の約0.05%の「極」とは・・・
越前がにには「極」(きわみ)と呼ばれる、越前がにの中でも特別な蟹があります。2015年シーズンから始まった新ブランドです。この極に選ばれるにはとても厳しい審査基準があります。甲羅の幅14.5cm以上、重さ1.3kg以上、爪の幅3cm以上の特大サイズの越前がにに与えられる称号です。これだけでもかなり厳しい審査条件ですが、当店が競りに参加する越前漁港では、越前がにの本場・越前町の誇りを持って、独自に更に厳しい基準を設けており、水揚げ時に1.5kg以上の重さのものだけが「極」となります。更に越前焼で作った「極メダル」がつけられています。 ちょっとした爪欠け、わずかな重量不足で振り落とされる厳しい審査には競り場からため息がでるほどです。
期間限定!せいこがに
オスのズワイガニを越前がにと呼びますが、メスは「せいこがに」と呼ばれます。福井県民が愛してやまないせいこがには、オスの3分の1程度の大きさしかありませんが、その小さな甲羅の中には「赤いダイヤ」とも称される朱色の内子(うちこ・卵巣)と濃厚な蟹味噌がぎっしりと詰まっています。これはグルメを唸らせる逸品です。またお腹に抱えた外子(そとこ・受精卵)はツブツブの食感が楽しめます。福井県では足は食べずにせいこがにの蟹味噌、内子、外子だけを食べる人も多くいるほど、一度食べたら病みつきになる美味しさです。
現在では資源保護のため11月6日〜12月31日までの2か月だけの漁期となっており、期間限定で楽しめる逸品です。
福井県の家庭の味!ズボガニ(みずがに)
福井県ではズボガニと呼ばれ県民に親しまれている水ガニは、脱皮してから時間が経っておらず、甲羅が柔らかいズワイガニのことです。脱皮したてのため身が詰まっておらず、水分を多く含むため、殻から身が"ズボッ"と抜けることから、ズボガニと呼ばれています。甲羅のミソも少なく、茹でると蟹身に回り味に雑味が出てしまうので、通常は甲羅を外し、足と肩の身だけで流通しています。みずみずしい味を好んで食べる人も多く、価格もお手頃のため福井県では家庭の味として親しまれています。
ズボガニは傷みやすく保存が難しいため、一般での流通は少なく、地元でこそ食べられる郷土の味です。