蟹競り職人インタビュー
越前海岸で一番の老舗大問屋の4代目
越前かに はまねやの競り人 中橋靖人
いらっしゃいませ!最高の越前がにの仕入れは私にお任せください!私は老舗海鮮問屋の4代目として生まれました。一年中、朝から競りに出かけ、福井県内はもちろんのこと、東京の築地市場をはじめ日本中の市場に海産物を卸しています。最高の越前がにを仕入れ、お客様に喜んでもらえるようにと常に心掛けています。そんな私が山下さんと協力して福井県から全国の皆様に最高の越前がにを通販で届けようと思ったきっかけや、商売への想い、蟹に関する豆知識等をお伝えできればと思っています。
競り人インタビュー
Q:「越前ガニの通販 はまねや」の蟹競り人、中橋靖人さんにお話しを伺いたいと思います。
A:はじめまして!越前漁港で競り人をしてます。越前海岸の老舗海鮮問屋の4代目となります。よろしくお願いします。
Q:なぜ家業を継いで競り人になろうと思ったのですか?
A:そうですねぇ。まずは小さい頃から祖父や父の背中を追いかけて、しょっちゅう漁港に出入りしてたことは大きいと思います。皆さんにはあまり想像できないかもしれませんが、漁港は遊び場でしたし、大人たちの競りの掛け声と波の音が日常的に聞こえているような環境でした。そういう環境で育ったこともあり、祖父や父の働く姿を見ている間に自然と家業を継ごうと決心しましたね。
Q:いつ頃から蟹競り人として働いていますか?
A:18歳のころにはこの仕事についていました。幼少の頃から魚や越前がには身近なものでしたし、手伝いをしながら父からも色々と教えてもらっていたので、知らない間に蟹競り人としての英才教育は受けていたのかもしれませんね。(笑)
Q:確かに蟹競り人界ではサラブレッドかもしれませんね!(笑)
今後も越前一の海鮮問屋であり続けるために気を付けていることはありますか?
A:一番大事なことは本当に良い越前ガニを仕入れることです。そうすることでお客さんが喜んでくれるんです。そうするとまた買ってもらえるんです。単純なんですけどこれが一番大事です。
Q:他の業者さんもいますし、本当に良い越前がにを沢山仕入れるのは大変じゃないですか?
A:そうなんですよ。大変なんですよ。(笑)
良いものを競り落とすには度胸がいるんですよ。お客さんの要望に応えるために妥協せずに競り落とします。損をするときもあります。でも、常にいいものを買うためにはそれが大事なんです。
たまに損をしてでもいいから、いつも、いつも良い越前がにを買う。そうやって度胸と誇りを持ってやることで、お客さんからも漁師さんからも信頼され、感謝されるんですよ。
そうするとまた注文してもらえる。これを意識して競りに出る事でいい越前ガニをたくさん仕入れられるんですよ。
Q:たくさん仕入れるとのことですが、これまでにどれくらいの越前がにを競り落としてきましたか?
A:まさしく数えきれないほどです。(笑)
福井県内の越前がにの水揚げ量は越前漁港が圧倒的に多いんですよ。有名なところだと三国漁港と越前漁港の2つですが、三国漁港では約10隻程の蟹漁船があります。越前漁港では三国漁港の約4倍にあたる約40隻の蟹漁船があります。その越前漁港の漁獲量の3割以上、多い時は半分近くを競り落とすんですよ。それだけの数を見てきているんで、越前がにを見る目はどんどん鍛えられていってますよ!
Q:いい蟹の見極め方ってありますか?
A:まずは何と言っても甲羅の硬いものです。そして重たいものですね。一言で重たいと言っても難しいもので「見た目に対して重いもの」という意味です。こればっかりは越前がにを触り続けて経験を積まないと分かりません。あとは色ですね。腹の色が真っ白じゃなくて、少しクリーム色のようなものです。脱皮の直前が一番身が詰まっていて美味しいんですよ。甲羅が硬くて、腹がクリーム色の蟹は前回の脱皮から時間が経過している証でもあるんです。
Q:蟹は活きたままの保存方法が大事だと伺いましたが、気を付けていることはありますか?
A:もちろんあります。越前がにはとてもデリケートな生き物なんです。活きたまま仕入れても茹でる前に死んでしまった蟹は味が落ちるので、はまねやでは売りません。活きている蟹は自分の身に危険を感じると自ら足を切り離してしまったりします。なので、まずは越前がにを仕入れた段階でハサミに輪ゴムをかけ、水槽内でお互いに攻撃をしないようにします。さらに大事なのが水槽と海水の温度です。はまねやの水槽では越前がにの生息環境に近づけるため、海水を汲み上げるポンプを使い日本海の海水を使用します。しかし、そのままでは使いません。越前がには水深200〜400メートルの泥地に生息しています。水温は1〜3度を好むので冷却装置を使い海水をこの温度まで下げています。そうやって越前がににストレスを与えないようにしています。
Q:どれくらいの期間活かしたまま保存するのですか?
A:当店では3〜4日です。これは越前がにの美味しい身の状態を保ちながら体内にある泥をしっかり吐かせるためです。仕入れてからすぐに茹でてしまうと、体内の泥が溶け出して臭みや雑味になります。しかし、ただ長く水槽に入れていればいいわけではありません。長く水槽にいれていると、どんどん身が痩せていきます。痩せ具合は特に蟹身と内ヒダから見てとれます。当たり前のことですが痩せた蟹より身の詰まった蟹の方が美味しいです。蟹も人間も食事をせずにいると痩せ細っていくのは同じことですよね。
Q:それだけ品質管理をしても茹で方で味は変わるものですか?
A:もちろん変わりますよ!越前がには茹でる温度や茹で時間等でかわります。ゆで汁の変え方や温度は茹でる人によってこだわりがありますし、それで香り、瑞々しさが違ってくるんですよ。
Q:なるほど。山下さんに茹でてもらうと美味しくなるということですか?
A:もちろん自分が茹でてもその辺の人には負けない自信があります。でもね、茹でるという1点においては彼にはちょっと負けますね。とにかくこだわりが強くて職人気質な一面があるにも関わらず、感覚だけに頼らず、何度も試行錯誤して最高の茹で具合を研究したみたいですね。まずは茹で汁の塩分濃度、茹で初めの温度、中間温度と時間、そして余熱での火入れの時間と温度など、本当にすごいですよ。しかも他の業者とは違い、一度に大量に茹でないんです。美味しく食べてもらうために、わざわざ小分けにして茹でているんですよ。なかなか真似できるものじゃないですね。
Q:山下さんにお願いしようと思った理由は他にもありますか?
A:彼には蟹だけでなく色々なものを買ってもらってるんですが、とにかく妥協しないんです。競り人でもないのに競りがある日は毎朝来ますからね。(笑)もちろんたまに来る料理人はいますけど、毎朝競りにくる福井の料理人は彼以外には僕は知りませんね。それに物を見る目が本当に厳しい。中途半端な物は買いませんから。相場より高くても本当に良い物だけを買っていきますよ。きっと損をしている時もあるんじゃないですかね?それでも本当に美味しいものを提供して、喜んでもらってまたお店に来てもらう。そんな彼の気持ちが自分の競り人としての在り方と似ているので、この人なら信頼できる!と思ったのが一番の理由です。
Q:では最後にお客様に一言お願いします。
A:はまねやではこだわりの強い職人が二人おります。福井県から本当に美味しい越前がにを通販で全国のお客様へ届けたいという想いで手を組みました。決して安いものではありませんが、越前がにを大好きな人も、まだ食べたことのない人も是非「はまねや」の越前がにを一度食べてみてください。よろしくお願いします!