美味しさの秘密
目利き、管理方法、茹で方
越前がには元々大変美味しい素材です。しかし更に美味しく食べる為には仕入れの目利き、管理方法、そして茹で方が重要になってきます。この3つの内1つでも欠けてしまうと一気に味が落ちてしまい、越前がに本来の美味しさをお届けできません。「はまねや」では競り人の中橋靖人と店主の山下弘秋が厳選した越前がにを最高の状態に茹で上げお届けします。妥協のないはまねやの越前がにをご賞味ください
中橋靖人の目利き
他を圧倒する経験値と知識
「はまねや」の競り人の中橋靖人は越前漁港一番の海鮮大問屋の4代目として生を授かりました。幼少期より祖父や父の背中を追いかけ競り場で育った生まれながらの競り人です。今でも一年中、朝から競りに出かけ、福井県内はもちろんのこと、東京の築地市場(現 豊洲市場)をはじめ日本中の市場に海産物を卸しています。多い時では越前漁港の水揚げ量の半分近くを競り落とす日もあります。中橋靖人が越前がにのことを熟知しているのはもちろんのこと、通常の競り人や仕入れる人とは違い漁船毎の越前がにの扱い方の特徴まで熟知し、漁港に到着するまでの保存状態も想像できるのです。そのうえで競りを行うというのは中橋靖人が育った環境と経験だけが可能にする目利き術です。そうして仕入れた中でも更に厳選した越前がにだけをはまねやでは提供しています。「はまねや」の越前がにが他とは違うのには、このような理由があるのです。
越前がにの生態に合わせた品質管理
越前がにはとてもデリケートな生き物です。そんなデリケートな越前がにを良い状態で保存するには越前がにの生活環境に近い環境にすることが重要です。特に大事なのが水槽と海水の温度です。はまねやでは越前海岸から海水を汲み上げるポンプを使い日本海の海水を使用しています。しかし、そのままでは使いません。越前がには水深200〜400メートルの泥地に生息しています。水温は1〜3度を好むので冷却装置を使い海水をこの温度まで下げています。活きている蟹は自分の身にストレスや危険を感じると自ら足を切り離してしまいます。まずは越前がにを仕入れてすぐにハサミに輪ゴムをかけ、水槽内でお互いに攻撃をしないようにします。そうやって越前がににストレスを与えないようにしています。ここからの保存期間も重要です。仕入れてからすぐに茹でてしまうと、体内に残っている泥が溶け出し蟹身や蟹味噌に雑味や臭みがついてしまいます。はまねやでは仕入れてから3〜4日かけて泥を吐かせます。1週間や2週間と長く泥を吐かせるお店もありますが、どれだけ生息環境に近づけても蟹はこの期間は餌を食べません。するとどうしても肝心の蟹身が痩せてしまい味が落ちてしまいます。そのような理由から当店では3〜4日としています。はまねやの品質管理は、蟹のために可能な限り生息環境に近づけながらも「美味しく食べる為の保存」という鉄則を守っています。
山下 弘秋の茹で
最高の越前がにを仕入れて、生息環境に近い環境で品質管理をしても茹で方ひとつで味が大きく左右されます。はまねやでは山下弘秋が茹で時間、温度、塩分濃度等に細心の注意を払いながら丁寧に、丁寧に茹で上げます。
1. ストレスを与えずに絞める
高級なお寿司屋さんや割烹では新鮮な魚にストレスを与えると身が硬くなり、味が落ちるので「神経絞め」をするという話は聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。はまねや 主人の山下弘秋は越前がににもストレスを極力与えないようにした方が味が落ちないのではないかと考えました。その後、色々な締め方をしてみて神経絞めに辿り着きました。はまねやで提供する越前がには全て神経絞めをしてストレスなく絞めてから茹で上げていきます。
2. 温度と時間
越前がにを茹でるうえで温度と時間はとても重要です。はまねやではまずは茹で汁に塩を足します。これは味付けではなく沸騰時の温度を102度という高温にするためです。この高温で蟹を茹で始めて、蟹身や蟹味噌の表面のタンパク質を素早く固めることで、旨みを中に閉じ込めます。このままでは蟹身の中まで硬くなってしまうので、92℃〜93℃に調整しながら火入れをします。そして十分に火入れが終わったら火を消し、余熱で5分間茹でて仕上げます。個体差に合わせて余熱の時間を変えていきます。この個体差毎の調整と余熱の時間をとる手間を大事にすることで更に甘み、旨味を引き出していきます。
3. 固体差を考え少量ずつ
はまねやでは大量の越前がにを一気に茹で上げることはしません。個体差がある越前がにを一緒に茹でてしまうと、どんな熟練の方でも茹で具合に差がでてしまいます。少量ずつ大きさの近い越前がにを丁寧に茹で上げることで、その蟹の美味しい茹で上がりを見極めることができるのです。そして、はまねやでは茹で汁は毎回新しい物に変えます。旨味が茹で汁に出るのでその茹で汁も再度使うという方も多いですが、蟹の茹で汁というのは皆さんが想像している以上に汚れてしまいます。山下弘秋は旨みは染み込むのに時間がかかるが、人間が感じる雑味はすぐについてしまうという考えから、繊細な越前がにの味を守るため、茹で汁の管理にも細心の注意を払っています。